青春門

最近中途覚醒が激しく眠りも浅いようで、そんな中で見た夢が非常に強烈だったので、メモとして残すことにした。

 

僕は200万円ぐらいのリーズナブルな家を発見し、内見しに行った。

家は郊外の閑静な住宅街にある。二階建てアパートの二階部分だ。

 

築50年はゆうに超えているような古い面持ち。外装は、壁が朱色で、劣化した色をしていた。おまけに剥がれている場所もあった。いかにも雨漏りしそうな木造建築のようだった。

 

隣にも小さなドアがあるが、手すりが外れている。そちらには「人」は住んでいないようだった。

直感が言っている。ここに住んではいけない。

 

しかし夢というのは残酷なもので、それでも家に近づいてしまうのである。すると、家の細部が見えてきた。

表札が少なくとも5個は貼り付けられていた跡が残っている。そのうちのいくつかは文字が消されているだけで、木の表札は残っているのだ。

何故売られている家の表札がこんなに頻繁に変えられているのか?

賃貸では表札をつけないのが当たり前である。(少なくとも僕の住んでいる地方ではそうだ)ということは、この表札は家の前の購入者のもののはずだ。

家を買ってもすぐ手放さなければならなかったか、あるいは死んだのか…

そう考えていると、上に目が行った。

 

ぼろっちくて金属製ですらないドアの上に50cm×80cmぐらいの木のボードがあって、消えかかった筆文字で「青春門」と書かれている。

 

「ああ…地方から青春を夢見てシェアハウスを始めようとしていた若者達が残したものだろう…しかし今では『夢の跡』だ」と。

 

一部割れたくもりガラスからは部屋の内装が全然見えないが、昼なのに部屋の中は独特の暗さを持っているのは分かる。中に入るのはやめて帰ることにした。

やすい家にはワケがある。そう思いながら引き返して住宅街を目指した。

住宅街は皆築4、50年の家ばかりだった。何故分かるかって?玄関のデザインが昔に流行ったものだからだ。どの家も人の気配はなく、道路には大きなひび割れが残り、建物だけが遺跡のように残っている。

 

青春門の家にしろ、この住宅街にしろ、虚無だけが漂っていて、二度と行きたい場所ではなかった。

 

別に僕は夢に意味があるとは思わないけれど、頭脳が記憶や感情を処理する手段の一つであるだろうということはわかる。安い家を買って快適に過ごしたいという思いが募ってこのような夢を見るのだろう。

エッチなものを見た後はそういう夢を見る。そういう夢は非現実であり非常につらい。特によく見るのが、キスをする夢である。あんなに気持ちの良いキスは非現実だ!


あくまで夢は現実ではない。ああ、おしっこをする夢以外は。