味覚障害

 

今は昔、味消えの翁ありけり。

今日は、味覚障害についてです。

 

 

コロナウイルスにかかると味覚障害を覚える、ということが因果関係として見られるようです。僕は、コロナウイルスが現れる前、ある事情で1ヶ月ほど味覚障害に苦しめられました。その時の辛さをお話しいたします。

 

 

僕は一時的な味覚障害に悩まされたが、それに気がついたのはフルーツゼリーを食べた時のこと。前食べたときはうっすら甘かったゼリーが、その日は微塵も甘くなかった。みかんの香りは若干したがゼリーの味が無であった。

 

 

まさかとは思ったが、このときは気にせずにいた。しかし、次デザートが出されたとき、それも甘さが全くなく美味しくなかった。配給だからまずいのだろうと思った。

 

しかし、甘いと分かっている紅茶を飲んだとき、確信に変わった。午後の紅茶ミルクティーが全く甘くなく、苦いのである。こんなにおいしくない飲み物を飲んだのは久しぶりであった。甘さを感じなくなったのだと気付いた。

そのあともフルーツヨーグルトやアイスクリームを食べた。ヨーグルトはすっぱく、バニラ味のアイスクリームはしょっぱかった。

 

食事もデザートも嫌なものになった。よく噛んでも米も無味、パンも無味である。チョコレートなど最悪だった。ただの溶けていく無味の物体であった。飴も苦くなった。香りだけは感じられるのが救いであった。

人間は食事をする時、味覚だけではなく嗅覚もよく使うという。それが本当によかった。当時の僕は嗅覚が冴えてワンちゃんのようになっていたと思う。

また、甘みが薄い苦味に変換される以外、特に味覚の変化はなかった。デザートはまだしも甘い炭酸飲料が大好きな僕は、しばらく断炭しなければならず苦しい思いをした。

 

そう、人生の楽しみが奪われた気分になった。五感の中で味覚は存在感が薄いものだと思っていた。しかし味覚の中の一個が奪われるだけでこんなに苦しいのかと思った。

 

喪失感で2日で2食ぐらいしかできなかった。

 

 

しかし味覚障害も長くは続かず、三週間ほどで徐々に戻り始めてきた。100%葡萄ジュースを飲んだとき、通常の半分程度の甘さを感じた。(おそらく今飲んだら甘ったるくて仕方がなかっただろう。)たまに食べられるご当地お菓子も甘味を感じられるようになったことで味覚の戻りを実感した。

 

 

短い期間の味覚障害であったが、あれはもう二度と起きて欲しくはない。食事の気も失せ、3kgは痩せてしまった。

 

 

味覚という五感を言葉で説明するのは僕の語彙不足と時間が経ってしまったのもあってうまく表現できなかった気がしたが、とにかくもう二度と味覚障害にはなりたくない。

消滅した味覚が強い食べ物は美味しく感じなかった。

 

みなさんもいつも食べてるものがとたんに美味しくなくなったら、味覚障害を疑ってください。